飲む発毛剤は効果がある?
- 公開日:2020/06/16
薄毛に悩んでいて、初めて育毛剤、発毛剤を使ってみようという方は、一体どの製品を使おうか悩んでしまいますね。普段、ネットやドラッグストアで見かけるのは、塗布・噴霧する育毛剤ですが、クリニックのウエブサイトを覗くと飲む発毛剤もあるようです。
やはり飲む薬のほうが効くのでしょうか?安全性はどうなのでしょうか?そもそも、どうやって入手するのでしょうか?
この記事では、飲む発毛剤の効果、飲み方、入手方法、更には安全性について、説明します。
Contents
発毛は塗るタイプよりも飲むタイプの方が効果がある?
発毛剤には塗るタイプと飲むタイプがあります。前者は体の外側に使用するため、外用剤といいます。後者は、その名のとおり、内服剤といいます。
育毛剤や発毛剤に関して言うと、頭皮や髪になじませるため、外用剤です。そのイメージでいると「飲むタイプの発毛剤や育毛剤ってあるの?」と思わる方がいるかもしれません。
また、「どちらのタイプが効くの?」とか、そもそも「塗るタイプは直接的に髪や頭皮に作用しそうだけど、飲むタイプは何で効くの?」と疑問に思う方も多いもかもしれません。
発毛剤の作用
発毛剤、特に男性が使う発毛剤の作用機序には大きく二つあります。
一つ目は、頭皮の血流を改善し、発毛を促すタイプです。頭皮の血流を改善させるのが目的なので、頭皮に直接塗るあるいは噴霧した方が効率がよいですよね。このタイプの薬がミノキシジル等です。
二つ目は、抜け毛の原因である男性ホルモンを抑制するタイプの薬です。体内のホルモンを抑制するのですから、内服する必要があります。このタイプの薬がプロペシアやザガーロです。
効果の違い
では、塗るタイプと飲むタイプでは、どちらが効くのでしょうか。
前述したように作用の機序が異なるため単純な比較は難しいのですが、飲むタイプは男性脱毛症の主な原因である男性ホルモンを抑制する作用があるため、一般的には飲むタイプが効果はより高いと考えられています。
ただし、作用の機序が異なる場合には、両方のタイプの併用が可能です。
法律上の分類
医薬品等に関する法律上、現在日本で承認されている飲むタイプの発毛剤は、すべて医療用の「処方箋医薬品」であり、医師の診察を受け、処方箋を発行してもらい、購入する必要があります。
一方、塗るタイプの発毛剤は「一般用医薬品」であり、薬剤師の指導下であれば、購入時に処方箋は必要ありません。
安全性
前述したように、飲むタイプの発毛剤はより高い効果が期待できますが、安全性はどうでしょう。
「医療用医薬品」、「一般用医薬品」に関わらず、薬には人間の体に対する作用、すなわち薬理作用があります。薬理作用には、病気を治療する作用(主作用)と、治療とは関係なく体に害を及ぼす作用(副作用)があります。
一般的に、外用剤は局所的(頭皮等)に使用するために、その副作用も局所的である場合が多いのです。一方、内服剤(飲むタイプ)は体に吸収され、血液にその成分が入り効果を発揮しますので、その副作用も全身で起こる可能性があります。
飲む発毛剤その1:プロペシア
画像出典元:https://www.simpleonlinepharmacy.co.uk/online-doctor/hair-loss/propecia/
プロペシアの効果
男性ホルモンを抑制する薬剤であり、男性の男性型脱毛症の進行遅延に対する効果を国が承認しています。
プロペシアの使用・服用方法
通常は0.2㎎を1日1回経口で服用します。ただし、医師の判断で1日1㎎まで用量を上げる場合があります。
ただし、効果が発現するまで3~6か月かかりますので、少なくともその期間は飲み続けることが重要です。
プロペシアの服用する際の注意点
女性には効果がありません。また、20歳未満の安全性や有効性は確認されていません。
肝臓に病気がある方は、投与の可否を医師に相談する必要があります。
プロペシアの副作用
重要なものとしては、肝機能障害があります。
また、男性ホルモンを抑制しますので、性欲の減退、勃起不全、射精障害、精液量減少が報告されています。
プロペシアの購入方法
前述のように、「処方箋医薬品」なので医師の診察を受け、発行された処方箋を持参し調剤薬局で購入する必要があります。
なお、処方箋があっても健康保険適応外なので、全額自費で購入する必要があります。
飲む発毛剤その2:ザガーロ
画像出典元:https://www.bestdrug.org/dutavolve-0p5mg.htm
ザガーロの効果
男性ホルモンを抑制する薬剤であり、男性の男性型脱毛症に対する効果を国が承認しています。
ザガーロの使用・服用方法
通常は0.1㎎を1日1回経口で服用します。ただし、医師の判断で1日0.5㎎まで用量を上げる場合があります。
ただし、効果が発現するまで3~6か月かかりますので、少なくともその期間は飲み続けることが重要です。
ザガーロの服用する際の注意点
女性には効果がありません。また、20歳未満の安全性や有効性は確認されていません。
肝臓に病気がある方は、投与の可否を医師に相談する必要があります。特に、重い肝障害がある方はこの薬を使えませんので、必ず医師に申し出ましょう。
また、他の薬剤(リトナビル等)と併用すると、血中の薬物濃度が上昇する可能性がありますので、他に飲んでいる薬がある場合は医師に申し出ましょう。
ザガーロの副作用
重要なものとしては、肝機能障害があります。
また、男性ホルモンを抑制しますので、性機能の障害(性欲の減退、勃起不全、射精障害)や乳房障害(女性化乳房)が報告されています。
ザガーロの購入方法
プロペシアと同様に、「処方箋医薬品」なので医師の診察を受け、発行された処方箋を持参し調剤薬局で購入する必要があります。
なお、処方箋があっても健康保険適応外なので、全額自費で購入する必要があります。
飲む発毛剤その3:アボルブ
画像出典元:https://united-clinic.com/menu/aga02.html
アボルブの効果
有効成分はザガーロと一緒ですが、日本では「前立腺肥大症」の治療薬として国の承認を受けています。逆にいえば、国は脱毛症治療として承認をしていません。
アボルブの使用・服用方法
ザガーロの項で説明したように、脱毛症には通常は有効成分0.1㎎を1日1回経口で服用しますが、アボルブは0.5㎎の錠剤なので、最適な用量で投与することは不可能です。
アボルブの服用する際の注意点
有効成分はザガーロと同じものですが、含有量が異なりますので、誤って服用しないことが重要です。
アボルブの副作用
重要なものとしては、肝機能障害があります。
また、男性ホルモンを抑制しますので、性機能の障害(性欲の減退、勃起不全、射精障害)や乳房障害(女性化乳房)が報告されています。
アボルブの購入方法
「処方箋医薬品」なので医師の処方箋により購入できますが、国の承認を受けていませんので、処方箋の発行はされません。
ネットなどで購入することは不可能ではありませんが、重大な副作用が発生しても国の補償を受けられませんので、お勧めはできません。
飲む発毛剤その4:ミノキシジル(ミノタブ)
ミノキシジルの効果
ミノキシジル外用剤は壮年性脱毛症の治療薬として国の承認を受けていますが、内服剤は国の承認を受けていません。これは日本ばかりではなく、全世界において同様です。
ミノキシジル内服剤は、米国などで降圧剤として承認されています。
ミノキシジルの使用・服用方法
発毛剤としての承認を受けていないため、決まっていません。
ミノキシジルの服用する際の注意点
米国などにおいて降圧剤として承認されていますが、添付文書中の警告欄に重大な心疾患が発生する可能性について記載されています。
また、日本皮膚科学会のガイドラインでも、発毛剤として服用すべきでないとされています。
ミノキシジルの副作用
日本で承認されていませんが、米国の添付文書では心血管系の副作用が報告されています。
ミノキシジルの購入方法
ネットなどで購入するは不可能ではありませんが、上記の理由から購入すべきではありません。
この薬から得られる利益に対し、可能性のある危険性が相対的に高いと考えられます。