育毛剤で記載されている医薬部外品とは?医薬品と化粧品の違いを解説
医薬部外品は、薬機法という法律によって、医薬品や化粧品と同じく製品の使用目的によって分類されています。
「育毛剤を使ったけど結局生えなかった。」という声を聞くことがありますが、育毛剤が医薬部外品に属している理由を知ることで、なぜ毛が生えてこなかったのか分かります。
医薬部外品をはじめ、医薬品と化粧品の違いから使用目的などについて説明します。
医薬部外品、医薬品、化粧品のそれぞれの定義
私たちが日頃利用しているドラッグストアで販売されている化粧品や、病院で処方される薬用製品は、全て「薬機法」という法律で次の3つに分類されています。
- 医薬部外品
- 医薬品
- 化粧品
それぞれの定義や特徴について説明します。
医薬部外品とは?
ドラッグストアやコンビニで市販されている、育毛剤や歯磨き粉などのように、症状の進行を防止や予防することを目的としているのが医薬部外品です。
体への効果が緩やかで、劇的に効くことが保証されていないため、副作用の心配も少なく、登録販売者という資格を所持しているスタッフのいるお店であれば、販売することが許可されています。
また、「薬用化粧品」と表記されている商品も医薬部外品に該当します。
医薬品とは?
医師の診断を受けた結果に基づき、薬剤師によって調合された薬を医薬品といいます。病状に対して効果的だと、厚生労働省に認められている成分を使用して作られます。
また、医薬品によっては、頭痛やふらつきなどの副作用が現れることもあります。
化粧品とは?
入浴剤やヘアトニックなど体の状態を整え、メイクで自分の見た目をより良く見せることを目的としたのが化粧品です。
主に皮膚や頭皮に塗布する方法で使用されており、外部の影響から皮膚を保護することで予防効果はありますが、病状を改善することは目的としていない製品が該当します。
医薬部外品は3種類に分類される
医薬部外品は、さらに次の3種類に分類されます。
- 指定医薬部外品
- 医薬部外品
- 防除用医薬部外品
指定医薬部外品について
以前は医薬品だった製品の中でも、病状に対する効果が比較的強くない製品を市販できる様にした製品が、指定医薬部外品になります。
指定医薬部外品ができた理由は、病院や薬局が利用できないときでも薬が購入できるように、規制が緩和されたという背景があります。
医薬部外品について
吐き気やあせもなど、体の異変を防止するために作られた製品が該当します。主に次のような製品が医薬部外品になります。
- 育毛剤
- 入浴剤
- 消臭剤
防除用医薬部外品について
防虫用医薬部外品は、人や飼い犬などの動物の環境を保護することが目的とされており、ゴキブリや蚊などを駆除するための殺虫剤や防虫剤が該当します。
医薬品は3種類に分類される
医薬品は次の3種類に分類されます。
- 医療用医薬品
- 要指導医薬品
- 一般医薬品(OTC医薬品)
医師の診断によって処方されるのが医療用医薬品で、ドラッグストアなどで購入できるが薬剤師に、病状などの購入する理由を共有する必要があるのが要指導医薬品です。
一般医薬品は、医療用医薬品と同じくドラッグストアで市販されており、薬剤師か登録販売者により対面で購入できます。
医薬部外品と医薬品の違いは?
医薬部外品と医薬品には、大きく分けて次のような違いがあります。
- 使用目的
- 購入方法
- 商品の表現方法
上記の違からさらに細かな違いまであるので、その点について説明します。
使用目的の違い
医薬品は、病状の治療や再発防止のための予防をすることが目的なのに対し、医薬部外品は、病気にならないための予防や防止を目的としています。
例として、ハゲている部分から髪の毛を生やす効果があるのは、医薬品である発毛剤ですが、今ある髪の毛が抜けることを防ぐために、髪に栄養が届きやすくなるよう頭皮環境を整える効果があるのは、医薬部外品である育毛剤です。
効果の違い
医薬品と医薬部外品には、特定の症状に効くとされている成分が含まれており、その成分を「有効成分」といいます。
医薬品に含まれている有効成分は、治療効果が証明されているもので、医薬部外品の成分は、症状を防止または予防する効果が証明されている成分になります。
薬剤師や登録販売者を介すかの違い
医薬品の中でも、要指導医薬品と一般医薬品(OTC医薬品)に分類される商品は、ドラッグストアなどでも購入できますが、購入の際に薬剤師か登録販売者を介して購入する必要があります。
医薬部外品はその必要がなく、陳列されている商品をそのままレジで清算して購入できます。
商品説明の表現方法の違い
医薬品と医薬部外品では利用目的が違うので、商品に表記する表現方法も違い、そのルールは薬機法に則っています。
医薬品は「~に効く」など特定の症状に効果を発揮することを記述できますが、医薬部外品は「~を防ぐ」という予防の意味を込めた表現のみ有効です。
医薬部外品と化粧品の違いは?
医薬部外品と化粧品では、成分の表記ルールに大きな違いがあるのが特徴です。双方の違いについて説明していきます。
利用目的の違い
医薬部外品は、特定の病状を予防や防止することが目的で、特定の病状を防ぐのに有効だと厚生労働省に認定されている成分を含んでいます。
化粧品は、身体を清潔に保ち、見た目を整えることが目的とされており、肌を清潔保つことを目的とした化粧水や
「有効成分」や「薬用」表示の有無
医薬部外品は、製品に含まれている有効成分の表示が義務付けられているため、製品パッケージにある成分表の欄に「有効成分」という欄があれば医薬部外品ということになります。
また、薬用化粧品が医薬部外品に該当するように、医薬部外品のパッケージには「薬用」と表記されている商品が多くあります。
「有効成分」と「薬用」が表記されていない商品は化粧品に該当します。
化粧品は全成分表示する義務がある
化粧品に属する商品に含まれている成分は、含まれている量が多い順に全成分表示する必要があります。
医薬部外品にはその義務がなく、製品に含まれている有効成分と主成分のみ表記されていることも多いです。
医薬部外品は勝手に売ってよいの?
医薬部外品には、国内で製造した製品を市場へ出す「製造販売」と、お店に商品として陳列してお客様に販売する「小売販売」の2種類あります。
販売方法によって、許可が必要な方法とそうでない方法があるので、その点について説明します。
製造販売する場合は許可が必要
国内で製造して、小売店などに販売する製造販売を行うには、「医薬部外品製造販売業許可」を取得する必要があります。
製造した商品が安心して使用できる品質を保っているのか、審査に通して許可が出ることで販売可能になります。
小売販売は許可なく販売できる
ドラッグストアやコンビニなどの小売店で、お客様に医薬部外品を販売する場合は、特別な許可の必要なく販売できます。
製造販売で品質が担保された状態で市場に出ることと、医薬品ほど効果が大きくないため、特別な許可が必要ないと思われます。
医薬部外品の主な商品
医薬部外品に分類される商品は日常のあらゆる場面で使われています。様々な商品の中から5つに絞って紹介します。
育毛剤
育毛剤と発毛剤は一緒の扱いになりがちですが、使用されている成分や効果が大きく異なります。
育毛剤は、今ある髪の毛の成長を促したり、薄毛の進行を防止する医薬部外品で、発毛剤は髪の毛が無いところから、髪を生やすことを目的とした医薬品になります。
髪の毛を生やしたくて育毛剤を購入しても、育毛剤に発毛効果は無いので、製品の目的を把握して選ぶことが大切になります。
入浴剤
入浴剤には、保湿や洗浄効果のある成分が含まれていることが多く、身体を清潔に保つことを目的とした医薬部外品です。
湯船に浸かる際に利用するので、保湿効果以外に血行促進も望めます。
歯磨き粉
歯磨き粉に含まれる研磨剤は、歯に付着した汚れを取ることで、虫歯になるのを防ぐ効果があります。
中には、フッ素という歯の酸化を防いだり、口内の菌によってカルシウムが歯から溶けてしまうのを防ぐ成分を含む歯磨き粉もあります。
殺虫剤
殺虫剤のように、人体に影響はなく、特定の虫のみに作用する製品は医薬部外品に分類されます。
殺虫剤には、選択毒性という特定の虫にのみ毒性がある性質の成分を使用しているため、人間や動物にはほとんど害はありません。
しかし、体内で分解できない量を吸ってしまうことで毒性が出てしまう可能性もあるので、喚起できる環境で使用することをおすすめします。
うがい薬
うがい薬には、口の中の細菌や感染症のきっかけになる細菌を殺菌する「ポピドンヨード」という有効成分が含まれています。
上記の成分は、体外から侵入した口内の細菌を除去することで病気になることを予防する働きがあるため、医薬部外品に含まれています。
まとめ
医薬部外品、医薬品、化粧品の違いを、次のように分かりやすく表にまとめました。
分類名 | 目的 | 製品例 |
医薬部外品 | 予防や防止、環境を整える | ●育毛剤 ●うがい薬 ●殺虫剤 |
医薬品 | 治療や予防 | ●発毛剤 ●痛み止め ●風邪薬 |
化粧品 | 環境や見栄えを整える | ●化粧水 ●洗顔石鹸 ●メイク |
育毛剤も該当する医薬部外品は、小売店での購入が可能で、特定の病状を予防したり防止する様に働きかける成分を含んでいます。
各製品の目的を把握して、自分の使用理由に合った製品を選ぶようにしましょう。